漫画家・かかし朝浩の公式ブログです。
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最近、とある高名な小説家(故人)の、晩年の文章に触れる機会がありました。
まったく同じではないものの、似たような文章が延々と、ひとつの事について繰り返されていました。
「歳とると話がくどくなる」とは言いますが、文章で読むとなかなかにインパクトがあります。
しかし、面と向かって聞いていた場合。意味としての破綻はありませんから「会話」としては成立しているはずです。
私たちの日常会話は、多かれ少なかれ無駄だらけです。言った話を「違うな」とか「ていうか」を挟んでちょっと正確に言い直してみたり、「うーん」「あー」「まあね」など特に意味の無い相槌を入れてテンポを取り直してみたり、言ったけど聞いてもらえてなかったり。
更に、口でいきなり言葉にする前に意識上であれこれと推敲をしているわけですから、実際伝えたい「意味」に対する無駄たるや膨大なものです。
してみると、文章の技能とは「無駄な言葉をカットする技術」にあるのではないかと思えます。
某小説家の文章も、程度の差こそあれ、こうした「無駄をカットする」概念が薄まったために口語をそのまま、意識に浮かんだ順序どおりに書いたのではないでしょうか。
ひたすら言葉を削って削って、それでもなお意味を失わない台詞は非常に美しいと思います。
過去最も印象的だったのは、アニメ『フリクリ』1話の「兄ちゃん、向こうでさ…」という台詞です。
非常に短い言葉でありながら、前後のシーンと相まって、ナオ太とマミ美、そしてナオ太の兄の過去の関係・現在の関係がすべて読み取れる、極限まで突き詰められた文字列。
このレベルに達したい、そう思っています。
まったく同じではないものの、似たような文章が延々と、ひとつの事について繰り返されていました。
「歳とると話がくどくなる」とは言いますが、文章で読むとなかなかにインパクトがあります。
しかし、面と向かって聞いていた場合。意味としての破綻はありませんから「会話」としては成立しているはずです。
私たちの日常会話は、多かれ少なかれ無駄だらけです。言った話を「違うな」とか「ていうか」を挟んでちょっと正確に言い直してみたり、「うーん」「あー」「まあね」など特に意味の無い相槌を入れてテンポを取り直してみたり、言ったけど聞いてもらえてなかったり。
更に、口でいきなり言葉にする前に意識上であれこれと推敲をしているわけですから、実際伝えたい「意味」に対する無駄たるや膨大なものです。
してみると、文章の技能とは「無駄な言葉をカットする技術」にあるのではないかと思えます。
某小説家の文章も、程度の差こそあれ、こうした「無駄をカットする」概念が薄まったために口語をそのまま、意識に浮かんだ順序どおりに書いたのではないでしょうか。
ひたすら言葉を削って削って、それでもなお意味を失わない台詞は非常に美しいと思います。
過去最も印象的だったのは、アニメ『フリクリ』1話の「兄ちゃん、向こうでさ…」という台詞です。
非常に短い言葉でありながら、前後のシーンと相まって、ナオ太とマミ美、そしてナオ太の兄の過去の関係・現在の関係がすべて読み取れる、極限まで突き詰められた文字列。
このレベルに達したい、そう思っています。
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お久しぶりです
かの谷崎潤一郎が『文章読本』の中で「美文の極意は含蓄にあり」みたいな事を言っていて、まあ要するにそういう事なのだなあ、と思ったのが高校の時でした。
それと、とあるジャーナリストが書いた「、」を減らす文章テクニックが私の作文術にかなり影響を与えております。考え込むと何も書けなくなるのはさておき。
それと、とあるジャーナリストが書いた「、」を減らす文章テクニックが私の作文術にかなり影響を与えております。考え込むと何も書けなくなるのはさておき。
ご無沙汰です
8年ぐらいになりますか、お元気で何よりです。
漫画は社によって句読点をつけない場合があり、改行と「…」によってテンポを取らなければならないんですが、これはこれで独特の苦労があります。
手塚治虫のネームはフキダシ1つにつき6行以内だそうで、それを聞いてからは自分もそれに倣うようにしています。
漫画は社によって句読点をつけない場合があり、改行と「…」によってテンポを取らなければならないんですが、これはこれで独特の苦労があります。
手塚治虫のネームはフキダシ1つにつき6行以内だそうで、それを聞いてからは自分もそれに倣うようにしています。
さすがに
全てを字数揃えたら酷いことになりそうでやりませんが、サブタイトル以外にもごく一部「5・7・5」に整えてる部分はあります。w
実はサブタイトル考えるのも結構難儀でして、1巻あたり1日以上はかかってると思います。有名な標語などのパロディになってるものは比較的楽ですけど、ちょっと掛詞とか入れようとするともう大変で…。
3-1、5-3あたりは上手く出来ましたが、あとは字数整えただけだなーってのも多くて反省材料です。
実はサブタイトル考えるのも結構難儀でして、1巻あたり1日以上はかかってると思います。有名な標語などのパロディになってるものは比較的楽ですけど、ちょっと掛詞とか入れようとするともう大変で…。
3-1、5-3あたりは上手く出来ましたが、あとは字数整えただけだなーってのも多くて反省材料です。
今月号のコメント遅れてスミマセン!
かかし先生が「宰相がお好きなら今月号は見頃ですよ」と仰っておりましたので、今月号を拝読しました。やー、悶え苦しみました。通い婚が主流のあの時代にあんなお堅い人が居られたら、それはもうたまらんです。宰相の君は現代でも、結婚しつつも夫より収入が高いキャリアな女性という感じで、色々と愚痴りつつ惚気そうですw
しかし斉信のあの振り方は、宰相の君に強烈な男性不信を残しそうな気がするのですが、時代背景を考えるとおかしくないのかもですね(そもそも、振ったといえるのかすらよく分かりません)。そんな時代に「浮かれ女」と称される和泉式部の凄さと、宰相の君の意外なまでの地位の高さに吃驚です(普段から「宰相さん」と気軽に読んでいる私は「下手をすれば皇女」とかいわれてどうしようかと思いました:汗)。
>ネームがすべて五言絶句や七言律詩で書かれている、とか。
和歌ではなく敢えて漢詩ですかw いろは歌が皇紀の歴史で未だ一本しか作られておりませんから、それが可能なら文章でも食べていける気がしますぞw
しかし、まだ「ライトノベル」という呼称が定着する前のファンタジー作家様には、台詞の頭文字だけを取ると別の文章が出てくる、和歌の折句みたいな事をやっていらっしゃる方も希に居られましたね。懐かしい……。
>最近、とある高名な小説家(故人)の、晩年の文章に触れる機会がありました。
奇遇です、私もありました。最も尊敬する文筆家さんの文章を索引する機会があったので、棚の奥から書を引っ張り出しました。私の方がいつの間にか年上になってしまった夭逝の才女さんですが、晩年というか享年が恐ろしく若いのは実に惜しまれる限りです(その代わりといっては何ですが、文章は亡くなられる数秒前のものまで残されております)。
波長の合う文章を書かれる方が早世なされている事が多い私も、多分に漏れずそういう思想の持ち主。
散る桜 残る桜も 散る桜
-良寛-
しかし斉信のあの振り方は、宰相の君に強烈な男性不信を残しそうな気がするのですが、時代背景を考えるとおかしくないのかもですね(そもそも、振ったといえるのかすらよく分かりません)。そんな時代に「浮かれ女」と称される和泉式部の凄さと、宰相の君の意外なまでの地位の高さに吃驚です(普段から「宰相さん」と気軽に読んでいる私は「下手をすれば皇女」とかいわれてどうしようかと思いました:汗)。
>ネームがすべて五言絶句や七言律詩で書かれている、とか。
和歌ではなく敢えて漢詩ですかw いろは歌が皇紀の歴史で未だ一本しか作られておりませんから、それが可能なら文章でも食べていける気がしますぞw
しかし、まだ「ライトノベル」という呼称が定着する前のファンタジー作家様には、台詞の頭文字だけを取ると別の文章が出てくる、和歌の折句みたいな事をやっていらっしゃる方も希に居られましたね。懐かしい……。
>最近、とある高名な小説家(故人)の、晩年の文章に触れる機会がありました。
奇遇です、私もありました。最も尊敬する文筆家さんの文章を索引する機会があったので、棚の奥から書を引っ張り出しました。私の方がいつの間にか年上になってしまった夭逝の才女さんですが、晩年というか享年が恐ろしく若いのは実に惜しまれる限りです(その代わりといっては何ですが、文章は亡くなられる数秒前のものまで残されております)。
波長の合う文章を書かれる方が早世なされている事が多い私も、多分に漏れずそういう思想の持ち主。
散る桜 残る桜も 散る桜
-良寛-
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