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漫画家・かかし朝浩の公式ブログです。
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 少納言ラスト前入稿完了で、一息ついております。

さて今日は雑談的な時事ネタですが、一応業界話。

AppleのiPadで暴力的・性的表現のある漫画の配信を認めないという方針が注目を集めていますね。

で、この話は一旦置いといて。(おい

以前に、「Amazonが電子書籍の印税率を70%に」というニュースもありまして、こちらも業界内ではかなり話題に上りました。
しかし、どうもこれが変な受け取られ方をしているなと感じまして、ちょっとそれについて一言書いておこうかなと。
 まず、この「印税率70%」について作家諸氏が抱いたイメージは、

作家【70】→Amazon【30】→読者

こうです。現在は10%くらいが作家の取り分として一般的ですから、7倍になるというわけです。
しかし、事はそう単純ではありません。

Amazonは別に「コンテンツ制作」のノウハウを持っているわけではなく、それにはやっぱり専門の「編集部・編集者」がなければいけません。つまり既存の出版社が作家と作品を管理し、Amazonに売り込む形態をとることになります。

作家【70-X】→出版社【X】→Amazon【30】→読者

さて、既存の書籍流通はどうなっているかと言いますと…

作家【10】→出版社→取次→小売店→読者

要は、この「取次」と「小売店」の機能をAmazonがやることになります。
ですが個人経営の小売店が泣き寝入りしたとしても、書籍流通を今まで仕切ってきた取次が、販売網の横取りをただ見ているわけはありません。

仮定の話ではありますが、もし取次が「日本での書籍流通は全て取次を通して行う」という条件で、Amazonと合意したとなると…?

作家【70-X-Y】→出版社【X】→取次【Z】→Amazon【30】→読者

印税はこうなります。なんか上の図とほぼ一緒になりましたね。
ちなみに現在、書店は30%も儲けを出してはいません。

※取次もよく悪者のように言われますが、「どこにどんな商品をどれだけ流通させるか」を取次が管理しなければ、売れるものが届かなかったり、逆に売れないものがダブついたりと、円滑な商業活動ができなくなってしまいます。人間の体で言うと血管のようなもので、取次なくしては商売が出来ません。

「最終的に商品になったものをただ売る」ことで30%の印税を海外に持って行かれるのですが、そこまでのプロセスは今と大差ない形に落ち着く可能性が大きいわけです。

電子配信によって、紙代・印刷代・輸送費などのランニングコストはかなり軽減できますが、データ管理などにかかるコストと差し引きでどれだけの収入が確保できるかは、全く持って未知数です。

作家諸氏におきましては、くれぐれも「収入がふえるよ!」とぬか喜びをされませんよう。おそらく後でガッカリします。w

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再販制と言うより問屋さんですか。
>iPadで暴力的・性的表現のある漫画の配信を認めないという方針

 これは別に良い(またはどうでも良い)と思います。商売の間口を狭めるとか出版物の流通云々という以前に、個人的にかなりどうでも良いです(ぉ

 で、私もその下がかなり気になりました。

>Amazon、Kindleのコンテンツ印税を7割にするオプションを発表

 Amazonさん、そんな事を言ってらしたんですか……。
 概ねはかかし先生に同意です。此処に私が一筆、加えるなら、日本の年間出版冊数の多さでしょうか? 百年程前に貸本業があれだけ盛んであったのも日本くらいのもので、加えて今でも法華宗の公式本の横に創○学会の本が平棚で並ぶという様な大らかな気質が日本の出版業界の良い所でもあります。昔から何でも和訳されて本に書いてあるので、日本人の書籍に対する信頼性は其処にあるのだろうと文化人類学観点からはそう思っております。そんなこんなで取次屋さんが生まれたのもそれなりに理由がある訳でして、進出当初は「日本の市場なぞファッ○してやるぜ!」と鼻息が荒かったカルフール等、中抜き主体の企業体も今では精々が資本参加するくらいです(既に日本市場に旨みが無いともいいますが)。

 既存の販売スタイルと国民性を鑑みるに、私も電子書籍媒体が日本でも解禁されたからといって其処まで極端な変動は余り無いだろうとは見ています。勿論コレまでと同様、所謂「出版不況」は深まる事でしょう(これだけカテゴリが広くなられると、自然とそうなる気がします)。……コピー関連で一騒動、ある気はしますが……。
 私自身は別段、電子媒体が出たからといって本の購買数は変わりません。寧ろ増えます。というのも、「読むのは冊子、資料としては電子」という棲み分けが既に出来ておりますから、読んで面白いと思った本は本を購入した上で、資料性があると判断すると索引用に電子版を追加で購入します。寧ろ早く索引用としての電子版を出してくれないと、My資料室に入って目的の記載がある冊子を探して三日徹夜という事態がこれからも頻発します(涙:割と深刻です)。その代わりこれまで通り、面白くなかった本は申し訳ないながら中古流通に流しますが、昔からこの、古書買取価格と書店での購入価格の差分が「買うと決定した自らの決定に負うべき責任」として位置付けております。
 さて、資料としての電子書籍の用い方ですが、識者の方は良く分厚いハードカバーに付箋を無数に貼っておられるのですが、付箋で整理出来たら苦労は無いのですよねー……。そもそも私の場合「記載があった」という事を覚えているだけで具体的にどの書物にその記載があったかという事を忘れている為、「電子書籍を入れているフォルダにGrepが掛けられると超嬉しい」訳です。同じ苦悩を共有してくれる方はいるはず……!

 で、「面白かったら買う!」を貫き続けて十数年、気付けば床から天井までの本棚がLの字に壁二面を埋めました、わっはっは。これでもかなり減らしてるんですよ? しかし最近は重版してくれないので、店頭で読んで面白そうだなーと思ったら即、入手しておかないと翌週には既にないという本が続出して困りものです。絶版も早いですし……。
 何でもかんでも私はそうなんですが、直感的に「面白い」と思ったら購入してます。これは作品を供給して下さる方と消費する側の一種の契約と同時に、消費者としての矜持のようなものだと私は勝手に思っております。よく「お布施」と最近は揶揄されますが、自分で稼いでいない時代からお布施はしてましたし、お布施する人がいなくなると枯渇する業界であるが故のお布施です。持ちつ持たれつ。


 さて、電子書籍を語る上で一つだけ合点がいかないのは、何故に電子書籍の話になると併せてKindleといった「持ち運び用の媒体」が絶対に話題に上がる事です。……皆さん、そこまでして持ち運びながら同時に蓄電池を使ってまで本を読まれるのですかね……? 商品としてはあっても良いと思いますが、普通にパソコンのモニターで読んではいけないような空気が何となく醸成されているような気がして、ちょっと肩身が狭いです。ライフスタイルとしての読書が定着している人でないと、わざわざ持ち運び用の電子書籍媒体を使ってまで読書をするのは難しいのではないでしょうか? 多目的端末を目指す上での付加価値としてなら解りますが、少なくとも私はまだ電子書籍専用表示媒体を必要とはしませんねぇ……。


<追記>
 そういえば昔、産業組織論か何かで「消費者の購買行動はニーズとして意外にもファッション性やステータス性、つまり流行に依存する事がある」って教わりましたっけ。流行にはとんと疎いのですが、Kindleの類も流行の一つでしょうかね?
[ Mya 2010年05月13日(木)21時03分 修正 ]
PC上では
何となく「ページをめくる」形態に違和感を感じてしまうってのはあると思います。やはり本だからこそあのコマ割、左右分割、白黒印刷があるわけですし。
そのうちカラーが優勢になってくるんでしょうね。練習しておかねば。w
[ かかし朝浩 2010年06月06日(日)21時49分 修正 ]
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HN:
かかし朝浩
性別:
男性
職業:
漫画家
自己紹介:
『暴れん坊少納言』2010年夏完結。
ドイツロマン派音楽家譚『ムジカ』2013年秋完結。
他、成人向け中心に神出鬼没。

連絡先:kakashi7776あmsn.com
("あ"→@に変えて下さい。)
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